こんにちは。静岡市葵区呉服町の矯正歯科、ブライフ矯正歯科・院長の平塚です。
先天性欠損といって、歯が生まれつき足りない方がいらっしゃいます。
乳歯が欠損することはほとんどないのですが、永久歯が欠損している方は意外と多いです。
生まれつき永久歯が足りない確率は約10%と報告されています。
欠損しやすい部位としては、
- 下顎前歯
- 下顎小臼歯
- 上顎小臼歯
- 上顎側切歯
が多いことが知られています。
1本欠損の方から、数本欠損の方まで、パターンは様々なのですが、歯が欠損していても保険が効かないのが現状です。(6本以上欠損している場合には保険適用となります)
さらに、問題なのは、発見が遅れがちであるということです。
上の写真のようなレントゲンをパノラマX線写真と呼び、顎全体を撮影することで歯の本数が揃っているかをチェックできるのですが、このレントゲンは子供では保険適用で撮影できないことになっています。
矯正治療前には必ずパノラマX線写真を撮影しますので、そこで初めて発覚することも多いです。
早い段階で先天性欠損がわかっていれば治療の選択肢が多くなることがあり、患者さんの負担も楽になります。
今回は、矯正治療開始前に先天性欠損が発覚し、矯正治療でどのように対応したかをご紹介したいと思います。
上の犬歯が生えてこない
上顎の犬歯がなかなか生えてこないということを主訴に来院した患者様です。
上顎犬歯を見てみますと、横に倒れてしまっており、このままでは自然に生えそうもありません。
そして、★マークのところに注目してみましょう。そこの歯は実は乳歯(E)で、生え変わるはずの永久歯(第二小臼歯)が存在していません。つまり、先天性に欠損しています。
乳歯の中でもEは一番大きく、歯の根っこもしっかりしているので、そのままにしておくという考え方もあるとは思います。しかし、しっかりしていると言えども、20〜30歳で自然と抜けてしまうことがほとんどです。そうなってしまうと、1cmほどの隙間が2箇所もあいてしまい、インプラントやブリッジ、部分入れ歯などの処置が必須になってきます。
インプラントもブリッジも部分入れ歯も、自分の歯ではないため一生物ではありません。全ての歯が自分の天然の歯であることに越したことはありません。
そこで、この方は乳歯を抜歯して、その隙間を矯正治療で閉鎖する方針となりました。上顎については、前歯を引っ込める目的で第一小臼歯を左右抜歯し、当然ながら生えてこない犬歯をしっかり生やす、という方針としました。
上顎の犬歯がしっかりと生えただけではなく、下顎の乳歯のスペースが閉鎖され、
将来的にも歯が抜けてしまう心配をすることなく過ごしていただけるようになりました。
このような治療方針が取れるのは、おおむね10代までです。
まとめ
歯がなかなか生えてこない場合には、永久歯が欠損していることや、埋まってしまっていることも多く、
放置すると、治療の選択肢が狭まることもあります。
気づいた時点で、まずは矯正の専門医院にご相談することをお勧めします。