こんにちは。静岡市葵区呉服町の矯正歯科、ブライフ矯正歯科・院長の平塚です。
八重歯が気になっていて、矯正を考えている方も多いかと思います。
ちょうど飛び出ている八重歯を抜いてしまえば良いのではないかと思う方もいるかもしれません。そして、実際に八重歯の抜歯を勧める歯科医師もいるようです。
しかし特殊な状況でない限り、矯正治療を専門に行う歯科医師が八重歯の抜歯を勧めることはありません。
今回は、八重歯の矯正の際に、なぜ八重歯を抜かないのかに焦点を当てて解説したいと思います。
八重歯とは
八重歯は一般用語であり、専門用語ではありません。専門的には、「犬歯の低位唇側転位」と言います。
極端に外側に出た状態の犬歯のことをいいます。
通常、矯正治療で八重歯を治療する場合は、八重歯のすぐ後ろにある4番目の第一小臼歯という歯を抜歯して、歯並びを整えていくことが多いです。
なぜ、八重歯を抜いてしまわないのでしょうか?
もともと歯列からはみ出ている八重歯を抜いてしまえば、簡単に歯並びが綺麗になると思いませんか?
犬歯とは、その特徴と役割
真ん中から数えて3番目の先端がとがった歯を犬歯といいます。糸切り歯とも呼ばれたりします。
犬歯は生えてくるのが割と遅いため(9歳以降)、他の永久歯によって生えるスペースが占拠されてしまい、犬歯が生えるスペースが残っていないことがあります。
しかし、犬歯には犬歯ならではの大切な役割がたくさんあると言われています。
まず犬歯は、他の歯より長くて丈夫な根を持っており、歯の中で最も寿命が長い歯と言われています。
肉食動物の犬歯は、獲物を捕らえ、肉を切り裂くための歯ですが、人間の犬歯は、前歯と奥歯の橋渡し的な役割を果たしています。
顎を左右に動かしたり、上下の歯を噛み合わせたときに、犬歯は前歯と奥歯にかかる負担を和らげたり軽減してくれるのです。
いわば、前歯と奥歯の補佐役です。
犬歯を抜歯するデメリット
歯には1本1本にそれぞれ役割があります。
その中でも頑丈で、重要な役割も担う犬歯を抜いてしまうと、歯並びのバランスが悪くなってしまいます。
犬歯の代わりに犠牲になることの多い第一小臼歯は、第二小臼歯という兄弟が存在しますので、片方を仮に抜くことになってしまっても噛み合わせに悪影響は出ません。
一方で、もし第一小臼歯よりも犬歯の方が圧倒的にダメージを負っている場合のみ犬歯を抜歯することもあります。
例えば、犬歯がほとんど骨から飛び出てしまっている場合や、虫歯でボロボロになってしまっている場合などです。
まとめ
以上のような理由で、八重歯の矯正をする際に抜歯が必要な場合は、犬歯はなく、第一小臼歯という歯を抜いてスペースを作り、歯を並べていきます。
もちろん、簡単に抜歯を決めているわけではなく、しっかりと検査をした上で分析を行い、正しい診断をすることが大切です。
歯を抜いてしまったら二度と元に戻すことが出来ません。患者様にも後悔していただきたくないので、抜歯の要否は特に慎重に検討するようにしていますし、納得していただける根拠に基づいた説明をするように心がけています。
少なくとも、「八重歯を抜歯しましょう!」と歯科医師に言われても、一旦待ってください。一度矯正治療専門の歯科医師に相談することをお勧めします。
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