こんにちは。静岡市葵区呉服町の矯正歯科、ブライフ矯正歯科・院長の平塚です。
今回は成長期の反対咬合に焦点を絞って解説したいと思います。
乳幼児の検診や、学校の歯科検診で虫歯などと一緒に必ず診査項目としてあるのが反対咬合です。
そもそも、反対咬合とは(過去のブログでも解説しています)前歯の関係が通常と反対になっている歯並びのことを指します。
通常は上の前歯が外に、下の前歯が内にあるのですが、反対咬合の場合はその逆で、下の前歯が外にある状態です。
一旦反対咬合になってしまうと、自然に治ることはまず無いため、治療が必要となります。
さらに、成長期において反対咬合のままでいると、より重症化する可能性があるため注意が必要となります。
では、なぜ反対咬合が重症化してしまうのでしょうか。
反対咬合が重症化する理由
これは、上顎と下顎の成長時期にズレがあるためです。
上顎と下顎は、実は同じペースで成長しているわけではありません。
上の画像は、スキャモンの発育曲線と言い、身体の発育をグラフにしたものです。
上顎は、脳に近い部分であるため、神経型の発育過程をたどり、11〜12歳頃に成長を終えます。
一方で、下顎は一般型の、つまり身長の伸びなどとほぼ同じ発育過程をたどり、成長のピークが思春期の14〜16歳頃にやってきます。
これを踏まえて、
①幼少期から反対咬合
②上顎の成長を下顎が妨げてしまい、上顎が大きくなれない
③上顎が小さいまま、11〜12歳頃に上顎の成長が終了する
④思春期の身長が大きく伸びる時期に連動して下顎の成長がピークを迎える
⑤反対咬合が重症化する
このような流れで、反対咬合はより顕著になり重症化すると言われています。
ですので、反対咬合についてはなるべく早い時期に治療を開始した方が良いとされており、早い方ですと3歳頃から治療を行います。
反対咬合が重症になってしまった場合でも、治療法がない訳ではないのですが、基本的に顎の手術を伴うことが多いです。顎矯正手術と呼び、「顎変形症」として病名が付きますので保険適用の治療になります。しかしこの顎変形症の治療が行えるようになるのは、完全に成長が終了してからになりますので、18歳頃以降にならないとできません。
そのような手術になってしまう状況を避けるためにも、お子様が反対咬合であると気づいた、もしくは検診等で指摘を受けた場合は、なるべくお早めに矯正治療専門医院にご相談することをおすすめします。