こんにちは。静岡市葵区呉服町の矯正歯科、ブライフ矯正歯科・院長の平塚です。
以前、こちらのブログで、矯正治療の代表的なリスクである「歯根吸収」について解説しました。
▽過去ブログ→歯根吸収のリスクについて。矯正すると歯の根っこが短くなる!?
今回は、もう一つの代表的なリスクである「歯肉退縮」について解説します。
歯肉退縮とは、歯肉、つまり歯ぐきが退縮することを指します。
退縮するということは、歯ぐきが痩せて、歯が長く見えたり、歯の根元の部分に隙間ができてしまう「ブラックトライアングル」が生じてしまうこともあります。
▽過去ブログ→ブラックトライアングルって何??矯正治療のリスクの一つ、ブラックトライアングルについて解説します
ただし、歯肉退縮はあくまでもリスクであり、歯根吸収と同様に、すべての方に起こるというわけではありませんのでご安心ください。
また、小児矯正では基本的に歯肉退縮は起こりません。
歯肉退縮が起こる原因
①矯正治療開始時に歯周病がある場合
これは容易に想像がつくかと思います。
歯周病は、歯ぐきの炎症が炎症が歯を支えている歯槽骨に波及し、歯槽骨が吸収してしまう病態を指します。
歯ぐきが炎症により腫れている場合は、歯ぐきが痩せているように見えませんが、それは病的な状態であり、歯磨きや歯科医院でのケアにより歯ぐきの炎症が収まると歯ぐきが引き締まり、結果として歯ぐきが痩せてしまいます。
歯周病に罹患すると、完全に元の状態にするのは現代の医療では不可能ですので、予防に努めることが大切になります。
②矯正治療中に歯周病になった場合
矯正治療中は、固定式の装置を使用する場合どうしても歯に汚れがつきやすい状態となります。
代表的なものはワイヤー矯正です。
丁寧にブラッシングしていただければ全く問題ないのですが、長期間口腔内の衛生状態が悪いと結果として歯周病を誘発してしまいます。
当院では、来院のたびにそういった状態になってないかチェックを行い、必要に応じて歯磨きの指導をさせていただいております。
それでもなお良くない状態が長期間続いてしまう場合には一時的矯正治療を中断することもあります。
▽関連ブログ→矯正治療中の歯磨きで注意すべきこと!治療内容別のコツと気をつけるべきポイントについて
③矯正治療開始前に重度のガタつきがあった場合
歯がガタガタしている部分は骨の形も不正な状態なのですが、歯と歯の距離が近いためあたかも歯ぐきがしっかりあるように見えます。
しかし、矯正治療を行い歯並びを整えると、歯と歯の距離が適切になる一方で、歯を支えている歯槽骨は治療前の状態と大きく変化がないため歯ぐきが少し下がってしまう傾向にあります。
治療をゆっくり行い骨のリモデリングを促すことである程度は防ぐことは可能ですが、軽度の歯肉退縮は避けられないと思います。
④骨がない位置に歯を並べてしまった場合
歯は骨のある位置にしか並べることはできません。
もしも、骨から逸脱した位置にまで歯を動かしてしまうと、骨から歯が部分的にはみ出す状況となり、当該部分の歯肉が局所的に退縮してしまいます。
下の前歯などは、骨の厚みが少ないため注意を要しますし、歯列を闇雲に拡大することもリスクを高めます。
しかし、これは術前の審査を十分に行った上で、治療計画を十分に検討すれば防げることですので、医原性の歯肉退縮と呼べるでしょう。
当院においては、通常のレントゲンだけではなく、必要に応じてCTを撮影し骨の厚みや量を審査し、安全に矯正治療を行なっています。
が、これは医療として当然のことです。
まとめ
いかがでしたか。
歯肉退縮は避けられるものと避けられないものがあります。
避けられないものについては、術前に十分に説明を受け、納得の上で治療を受けるようにしたいところです。
また、避けられる部分、特に患者さんのセルフケアについては日々の努力が必要にはなりますが、コツを掴めば大変ではありませんし、当院では最大限サポートさせて頂きますのでご安心ください!