成人矯正

40代でも歯科矯正はできる?リスクやデメリットはないの?

近年、40代以上の方でも歯科矯正治療を受ける方が増えてきています。

マスクをすることが当たり前になり、矯正していることが目立ちにくい、ということや、「今なら自分で費用を出せるから」「子育てが落ち着いたから」「今からでも婚活したいので、見た目を改善したい」など、時間的・経済的に余裕が出てきたこと、これからの人生を改めて考えるようになったことなど、が主な理由です。

しかし、中には、「40代から歯科矯正治療をやって意味があるのか?できるのか?」という疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、矯正歯科治療を検討されている40代以上の方のために、40代の矯正歯科治療について、治療法や期間、費用感、メリット、デメリットやリスクについて、矯正歯科医が詳しく解説していきます。

ブライフ歯科 院長 / 日本矯正歯科学会認定医 平塚 泰三(ひらつか たいぞう)

ブライフ矯正歯科 院長
平塚 泰三(ひらつか たいぞう)

東京医科歯科大学歯学部歯学科を卒業後、1年間の研修医を経て東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科顎顔面矯正学分野に入局。大学院を修了し歯学博士を取得。関東を中心に複数の歯科医院にて矯正担当医として勤務。2021年11月に静岡県静岡市にてブライフ矯正歯科を開業。正しい矯正歯科治療を適正な治療費で提供するように努めている。日本矯正歯科学会認定医。

矯正歯科治療は公的健康保険適用外の自費(自由)診療です。
一般的な治療期間:2年から3年、一般的な通院回数:20回~30回
矯正歯科治療の一般的なリスクと副作用:痛み ・口腔内不潔域の拡大と自浄作用の低下・歯根への影響(歯根の短小、歯の失活、歯肉退縮、歯根露出、失活歯の歯根破折)・顎関節症状・後戻り·加齢による変化・骨癒着

歯科矯正治療に年齢制限はない。40代でも治療は可能

結論から言えば、矯正歯科治療に年齢制限はありません。

60代、70代以上でも歯科矯正治療を受けている方はいらっしゃいます。

ただし、ほとんどの歯がまだ残っており、歯ぐきの健康状態が良い、という条件は付きます。

したがって、40代でも矯正歯科治療は可能です。

治療の開始時期としては、全く遅くありません。

むしろ、矯正治療を始めるならなるべく早い方がいいので、悩んでいるのであれば今すぐ始めてしまった方がいいとも言えます。

矯正治療に年齢制限はありませんが、やはり加齢とともに歯や歯槽骨、歯ぐきの状態が悪くなり、治療効果の出やすさや、期間が変わってくるからです。

50代になって、「やっぱりやっておけば良かった…」と思うより、40代の今、始めてしまった方がメリットが多いと言えます。

40代から歯科矯正治療をした方がいい人、そうでない人の判断基準

40代からでも歯科矯正治療をした方がいい人は、見た目や噛み合わせ、滑舌など、歯並びの悪さを改善したいと考えている方です。

一方で、次のような方は、歯科矯正治療をすぐに始められる状態ではなかったり、かえって悪影響を及ぼしてしまう可能性があるため、おすすめできない場合が多いです。

・虫歯や歯の喪失を放置したまま、しばらく歯科医院で治療を受けていない
・大きなブリッジやインプラントなどがあり、歯を動かすことができない
・傷んでいる歯が多く、矯正治療を行うことで、逆に寿命が短くなってしまう
・過度な審美改善や、原因不明の不定愁訴の改善を目的としている
・大きな病気の治療中であり、長期入院の可能性もある

https://www.brife-orthodontics.com/wp-content/uploads/2021/11/DSC04818222-300x300.jpg
矯正歯科医 平塚 泰三

いずれにしても、口腔内の状態を見てみないことには判断は難しいので、一度専門医に相談してみてから、歯科矯正治療を行うかどうかを判断してもらうのがよろしいかと思います。

40代で歯科矯正治療を行う4つのメリット

40代から歯科矯正治療を行うメリットは主に次の4つです。

・噛み合わせの改善(咬合)
・見た目の改善(審美)
・口腔内やその他の健康維持
・呼吸や発音の改善

それぞれ詳しく見ていきましょう。

噛み合わせの改善(咬合)

歯科矯正治療を行うことにより、嚙み合わせが改善します。

嚙み合わせが良くなるということは、何でもしっかり噛めるようになるということですが、消化吸収率が向上し、胃腸への負担が減るという効果も期待できます。

また、一部の歯や筋肉、顎の骨などにかかる力の偏りがなくなるため、肩こりや頭痛など、自律神経症状(身体の不調)の改善にもつながります。

見た目の改善(審美)

出っ歯や受け口など、見た目のコンプレックスが解消されるというのも矯正歯科治療の大きなメリットの1つです。

コンプレックスが解消されることで、積極的に人に話せるようになったり、性格が明るくなったり、仕事やプライベートに良い影響が出ている方も多くいらっしゃいます。

また、矯正治療を行うことによって、口元が引き締まる効果も期待できます。

嚙み合わせが改善することによって、口元や頬の筋肉のバランスが整い、ほうれい線やたるみの解消につながるのです。

顔のゆがみが整い、左右対称のバランスの良い顔立ちになる上に、横顔がきれいなEラインになって、口元が引き締まるため、特に女性は若返ったような顔立ちになり、表情も豊かになります。

もちろん、人によって効果の感じ方はそれぞれですが、矯正治療による歯並びの改善だけではなく、それをきっかけに様々な見た目や印象が大きく変わる可能性があります。

口腔内やその他の健康維持

歯並びが悪いために、口の中のケアがうまくできないと、虫歯や歯周病が進行してしまいやすくなります。

特に40代になると、歯周病によって歯ぐきが下がり、歯の間の隙間が気になったり、虫歯などで歯を失ったりすることも起きてきます。

そうなる前に、矯正治療を行うことで、口腔内のケアがしやすくなり、虫歯や歯周病を予防することができ、歯の寿命も長くなります。

また、歯周病の悪化は全身に影響しますから、歯周病の進行を止めることで、全身の健康にもつながるのです。

さらに言えば、40代のうちに矯正治療をしておくことで、咀嚼もしやすく、歯が残りやすくなるため、後々の認知症予防にもつながります。

呼吸や発音の改善

嚙み合わせが悪いことにより、歯と歯の隙間から空気が漏れてしまったり、舌が動かしにくくなったりして、サ行やラ行の発音が、他人には聞き取りにくくなってしまうことがあります。

一般にこういう方は「滑舌が悪い」と言われますが、滑舌が悪くて人と話をすることに自信を持てなかった方も、歯科矯正治療によって滑舌が良くなり、自信を持って会話をすることができるようになる場合があるのです。

また、出っ歯などで口が閉じづらく、口呼吸になってしまっている方は、矯正治療により口が閉じやすくなり自然と鼻呼吸できるようになります。

鼻は「空気清浄機」とも言われ、体内に入る空気を浄化する役割を持っており、鼻呼吸により免疫改善も期待できます。

こういったことも、40代のうちに歯科矯正治療をしておくことで、予防できるのです。

40代で歯科矯正治療を行うリスクやデメリットはある?

40代で歯科矯正治療を行う一番のデメリットは、若い頃に比べて矯正治療期間が長くなりやすいということです。

大人の歯は、子どもの歯に比べて骨が硬くなっているので、矯正による動きが鈍くなりやすい傾向があります。

そのため、治療期間が長引きやすく、一般的な症例であっても、2年〜3年ほどかかります。

また、骨が硬いことが原因で、子どもよりも強い痛みや違和感を感じやすいこともデメリットの一つと言えるでしょう。

年齢が上がるにつれ、痛みや違和感に慣れるのに時間がかかるようにもなります。

さらに、40代以降になると、長年の歯ぎしりや食いしばり、虫歯や歯周病の影響で、口の中にダメージが蓄積されている可能性があります。

その場合、歯科矯正治療の範囲が限定される可能性が出てくるのです。

https://www.brife-orthodontics.com/wp-content/uploads/2021/11/DSC04818222-300x300.jpg
矯正歯科医 平塚 泰三

そういった歯科矯正治療のリスクなどについても、初診相談や治療開始前の検査時にお伝えさせていただいております。

問題なく矯正治療ができる場合も多いので、まずは初診相談にお越しください。

40代の歯科矯正治療で抑えておきたい3つのポイント

40代の歯科矯正治療で押さえておくべきポイントは、以下の3つです。

・歯の健康状態が良好であること
・適切な矯正方法の選定すること
・適切なタイミングで行うこと

それぞれ詳しく見ていきましょう。

ポイント1:歯の健康状態が良好であること

矯正治療を受けている間は、矯正器具が装着されることにより虫歯や歯周病の治療に制限が加わります。

したがって、矯正治療を受ける前に、虫歯や歯周病の治療を終わらせておくことが必要になります。

特に、歯周病が進行して、歯ぐきが腫れている状態だと、歯を支えている骨が少なくなっているため、矯正治療が難しい場合があります。

骨が少ないまま矯正治療を行うと、歯を動かす力によってさらに骨が少なくなり、歯がグラグラしたり、最悪の場合抜けてしまう可能性もあるからです。

また、矯正治療が可能な条件として、歯の本数がなるべく多い必要があります。

特に奥歯は、歯を動かす支点になるため、奥歯がない場合は適切な矯正治療を行うことが難しいのが実情です。

ただし、人工歯であるインプラントを使用して、歯を動かす支点を作ることで、矯正治療が可能になる場合もあります。

ポイント2:適切な矯正方法の選定すること

矯正治療には、いくつかの方法があります。

大きく分けて、ブラケットとワイヤーを使用するワイヤー矯正と、透明なマウスピースを使用するマウスピース矯正があります。

ワイヤー矯正は装置が目立ってしまうのと取り外しができないため、見た目を気にされる場合には、目立ちにくく、少しずつ移動させるため痛みも少ないマウスピース矯正がおすすめです。

マウスピースは取り外せるため、食事や歯磨きは通常通り行えます。

したがって、違和感も少なく、虫歯や歯周病のリスクも低いと言えるでしょう。

また、マウスピースは約1週間ごとに自宅で装置を交換するため、通院回数は数ヶ月に一度、調整が必要になったとしても2ヶ月に一度くらいで済むので、忙しい方でも可能です。

ポイント3:適切なタイミングで行うこと

40代は、人によっては転職や結婚、起業、などさまざまなターニングポイントとなる年です。

それ故に、自身のライフステージやニーズに合わせたタイミングで矯正歯科治療を行うのがベストと言えます。

大人の矯正歯科治療は合計で2年〜3年かかる場合が多いため、大きなライフイベントが訪れる前に、適切なタイミングで受けておきましょう。

40代の歯科矯正治療の費用相場はどれぐらい?

大人の矯正歯科治療は、年代によって基本的に変わることはありません。

また、ワイヤー矯正なのか、マウスピース矯正なのか、治療法によっても費用は異なりますが、おおよそ60万円から100万円程度が相場です。

ただし、矯正歯科治療は公的健康保険適用外(自由診療)のため、歯科医院によって金額が異なってきます。

当院の矯正治療の料金は次のページに掲載しています。

40代の歯科矯正治療にかかる期間は長い?

40代は、子どもや若い人に比べて骨が硬くなっているため、矯正期間も長くなる傾向があります。

矯正期間としては、おおよそ2年〜3年を見積もっておきましょう。

むしろ、長い期間をかけて少しずつ移動させた方が、痛みも少なく、強い力が加わって歯根吸収を起こすリスクも下がります。

40代の歯科矯正治療の流れ

年代によって歯科矯正治療の流れが変わることはありません。

通常、治療のは以下のように進行します。

①初診と相談:患者の口腔内を詳細に診察し、矯正治療の必要性と可能性について議論します。
②詳細な診断と計画:X線撮影、歯型取り、写真撮影を行い、詳細な治療計画を立てます。この段階で、患者のニーズと期待を考慮した上で、最適な治療方法が選ばれます。
③矯正装置の装着:選択した矯正方法に基づいて、ブラケットやアライナーが装着されます。
④定期的な調整とフォローアップ:矯正治療は定期的な調整が必要です。この期間中、歯科医は装置の調整を行い、治療の進行状況をモニタリングします。
⑤治療後のケア:治療完了後、リテーナーを使用して、歯が移動した位置を維持します。これにより、治療効果が長持ちするようにします。

40代からでも歯科矯正治療は可能

この記事では、40代の歯科矯正治療というテーマで、40代で矯正歯科治療を受けるメリットやデメリット、注意点、費用や期間などについて解説してきました。

基本的に口腔内の健康状態が悪い方でなければ、40代でも矯正治療は十分に可能です。全く遅くはありません。

しかし、年齢が上がるにつれ、骨は硬くなり、歯ぐきは下がっていくので、矯正治療を始めるなら、一日でも早い方がいいのは確かです。

https://www.brife-orthodontics.com/wp-content/uploads/2021/11/DSC04818222-300x300.jpg
矯正歯科医 平塚 泰三

いずれにしても、まずは口腔内の状態をみてみないことには、そもそも矯正歯科治療が始められるのかどうかも判断が難しくなります。

当院では、矯正歯科治療の相談を随時受け付けておりますので、ぜひ一度相談にいらしてください。

関連記事

10月12日発売の「美人百花」11月号

最近の記事

  1. 【年齢別】矯正歯科治療の方法|種類やメリット・デメリットについて解説

  2. 20代で矯正歯科治療を始めるのは遅い?メリットや費用、注意点を解説

  3. 30代での矯正歯科治療は遅い?メリット・デメリットや後悔しないためのポイント

  4. ブライダル矯正とは?結婚式までに治療は間に合う?おすすめの治療法や必要な矯正期間

  5. 中学生から矯正歯科治療は始めた方がいい?メリットや費用などを解説