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大人の矯正歯科治療の費用やかかる期間、年齢制限の有無などを解説

「大人になってから歯並びの悪さや嚙み合わせを矯正しても、間に合わないのでは?」と思っている方も意外と多いのではないでしょうか。

結論から言えば、大人になってからでも、間に合います。

実際に、厚生労働省が令和2年に公表した「患者調査」によれば、矯正歯科治療を行う30代前半の人は、平成29年と比べて約2.4倍になっています。

このように、大人になってからの矯正ニーズは年々増加傾向にあるのです。

この記事では、大人になってから歯の矯正を検討されている方向けに、年齢別の特徴や、大人になってからの歯科矯正のメリット・デメリットや注意点、かかる費用相場、治療の流れなどについて、矯正歯科医が詳しく解説していきます。

ブライフ歯科 院長 / 日本矯正歯科学会認定医 平塚 泰三(ひらつか たいぞう)

ブライフ矯正歯科 院長
平塚 泰三(ひらつか たいぞう)

東京医科歯科大学歯学部歯学科を卒業後、1年間の研修医を経て東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科顎顔面矯正学分野に入局。大学院を修了し歯学博士を取得。関東を中心に複数の歯科医院にて矯正担当医として勤務。2021年11月に静岡県静岡市にてブライフ矯正歯科を開業。正しい矯正歯科治療を適正な治療費で提供するように努めている。日本矯正歯科学会認定医。

矯正歯科治療は公的健康保険適用外の自費(自由)診療です。
一般的な治療期間:2年から3年、一般的な通院回数:20回~30回
矯正歯科治療の一般的なリスクと副作用:痛み ・口腔内不潔域の拡大と自浄作用の低下・歯根への影響(歯根の短小、歯の失活、歯肉退縮、歯根露出、失活歯の歯根破折)・顎関節症状・後戻り·加齢による変化・骨癒着

大人は何歳まで矯正歯科治療ができる?年齢制限はある?

結論から言うと、矯正歯科治療に年齢制限はありません。

何歳からでも、矯正歯科治療が受けられます。

治療の方法や流れ、矯正にかかる期間も、若年者と大きな違いはありません。

ただし、歯を支える歯槽骨(しそうこつ)と歯肉が健康であれば、という条件付きです。

大人の矯正歯科治療が難しいのが、歯周病が進行している場合です。

歯周病は、歯肉に炎症が起きた結果として歯を支える歯槽骨が減少してしまう病気です。

そのため、病状が進行するにつれて、歯がぐらついてしまいます。

こうなると、泥沼に傾いて建っている家をまっすぐにしようとするようなもので、矯正治療自体が難しくなってしまうのです。

【年代別】大人の矯正歯科治療の特徴や期間の違い

矯正期間は、どの年代でもおおよそ1年から3年程度かかるのが一般的です。

ただし、年齢が上がるにつれ、矯正期間は長くなる傾向にあります。

このように、矯正歯科治療に年齢制限はありませんが、年代別に治療の傾向や矯正期間の違いがあります。

では、20代から60代以上までの、それぞれの矯正歯科治療や矯正期間などの傾向を見ていきましょう。

20代の矯正歯科治療の特徴や期間

20代は、歯の成長がすでに終わっていることから、それらの影響を受けにくく、歯周病などのリスクも少ないため、治療をスムーズに進めやすい時期です。

20代は、歯並びが良くないことで見た目にコンプレックスを感じていたり、噛み合わせの悪さから矯正歯科治療を検討する方が多い傾向にあります。

そのため、透明で目立たないだけでなく、自分で着脱できるマウスピース矯正が人気です。

マウスピース矯正であれば、食事や歯磨きの時はもちろん、デートや面接など大切な時にも装置が目立つことがなく、必要があれば外すことも可能です。

ただし、マウスピース矯正は、矯正歯科治療の進行や歯並びの状態に合わせて、マウスピースを作り直す必要があり、その回数や期間には個人差があります。

また、取り外しは簡単にできますが、装着し忘れるとその分治療期間も長引いてしまうので、その点も確認しておきましょう。

30代の矯正歯科治療の特徴や期間

30代は、仕事にも慣れて、時間的にも経済的にも余裕が出てきた人や、結婚式に向けて歯並びを綺麗にしたい人、キャリアアップや自分磨きをしたい人などが多いのが特徴です。

30代の方も、20代と同様に見た目のコンプレックスや、噛み合わせの悪さから矯正治療を検討される方がほとんどです。

そのため、マウスピース矯正や舌側矯正、セラミックブラケットなど、目立ちにくい矯正治療が選ばれる傾向があります。

セラミックブラケットは、比較的目立ちにくく、舌側矯正は、歯の裏側からの矯正なので、表面からは見えません。

マウスピースの場合は、透明で目立たず、自分で着脱できるため、ニーズに合致するということもあり、人気です。

矯正期間は、人によって違いますが、年齢が上がるほど代謝も低下しますし、歯周病のリスクも増えていきます。

そのため、子どもの頃や20代よりも長くなりがちです。

40代の矯正歯科治療の特徴や期間

40代でも矯正歯科治療が遅すぎるということはありませんが、20〜30代に比べて考慮すべき要素が増えていきます。

一つ目は、40代は、年齢によって骨が硬くなってくるという点です。

歯を動かすのにより大きな力が必要になるため、矯正に痛みが伴う場合があります。

しかし、ある程度治療が進めば痛みは治まっていきますし、マウスピース矯正の場合は、ワイヤー装置よりも痛みが軽減する可能性があります。

二つ目は、40代以降になると、歯周病リスクが高まることです。

歯周病が重症化している場合、矯正歯科治療により歯槽骨や歯肉に致命傷を与えてしまう可能性があるので、治療が難しくなってしまいます。

一方で、そういった懸念すべき病気がなければ、むしろ嚙み合わせを改善することで全身の健康に繋がったり、虫歯や歯周病を予防できるといったメリットもあります。

そのため、40代で矯正歯科治療を検討される場合は、一度専門医に相談した上で、矯正するかどうかを決めていきましょう。

50代の矯正歯科治療の特徴や期間

50代になると、20代〜30代に比べてあごの骨が硬くなってきたり、代謝も落ちてきます。

そのため、歯が動きにくく、治療期間が長引く傾向があります。

20代〜30代と同じペースで治療を行おうとすると、痛みが強く出てしまうこともあるでしょう。

また、強い力をかけ過ぎてしまうと、矯正力をかけた歯の根が短くなる歯根吸収(しこんきゅうしゅう)を起こしてしまうことがあります。

さらに、矯正装置をつけると歯磨きが難しくなるため、虫歯や歯周病のリスクが上がったり、口臭の原因になったりします。

一方で、嚙み合わせが良くなってしっかり噛めるという健康メリットや、滑舌が良くなったり、矯正後には虫歯や歯周病のリスクが下がるといったメリットもあります。

女性にとっては、噛み合わせを改善することによって筋肉のバランスが整い、ほうれい線やたるみの解消につながり、口元が引き締まって若くみえるというのも大きなメリットと言えるでしょう。

40代と同様に、考慮すべき懸念事項などが増えてくるため、矯正歯科治療を検討されているのであれば、一度専門医に相談してから判断することをおすすめします。

60代以上の矯正歯科治療の特徴や期間

60代以上になると、歯槽骨の硬化や代謝の低下がより顕著になり、唾液の分泌量も減少するため、治療は少しずつ、長期的に行うことになります。

すでに歯周病が重症化していたり、歯ぐきが痩せていたりする人は、矯正歯科治療を始める前に、一般的な歯科治療も必要です。

このように60代以上になると、矯正歯科治療の前に、まずは口腔内の健康をしっかりとチェックする必要があります。

一方で、矯正歯科治療を行うことにより歯並びが良くなることで、口腔ケアがしやすくなり、歯周病が改善することもあります。

特に、重度の歯周病である方々は、もともと歯並びが悪い場合が多いです。

歯並びがガタガタで歯磨きがきちんとできなかったり、嚙み合わせが悪くてバランス良く噛めないことで、余計な力がかかってしまったりしている歯は、日々傷んでいってしまいます。

したがって、口腔内の健康を維持するために、矯正歯科治療をむしろ受けた方が良いという場合もあります。

そのような人は、60代以上であっても、矯正歯科治療を検討してみましょう。

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矯正歯科医 平塚 泰三

いずれにしても40代、50代と同様に、判断が難しくなるため、一度矯正歯科専門医へ相談してから検討するのがおすすめです。

性別による大人の矯正歯科治療の違い

厚生労働省が発表した「令和4年歯科疾患実態調査」によれば、矯正歯科治療の経験は、ほとんどの年代において、女性の方が男性よりも矯正歯科治療の経験者がやや多いという結果になっています。

これは、女性の方が見た目への意識が高いことが影響していると考えられます。

また、矯正歯科治療の進み具合においても男女差が多少あり、男性の方が女性に比べてやや期間が長めになる傾向があります。

なぜなら、成人男性は骨が硬く、噛む力も強いため、歯が動かしにくい場合があるからです。

矯正治療方法の違い

矯正歯科治療の方法自体は男女で大きく変わるものではありませんが、女性の方がより目立ちにくい矯正方法を選ぶ傾向にあります。

目立ちにくい治療方法とは、主にセラミックブラケットや、舌側(裏側)矯正、マウスピース矯正を指します。

マウスピース矯正は目立たちにくく、食事やデートの時などには取り外しできるというメリットがある一方、長時間着用し続けないと期間が長引いたり、歯並びの状態によっては着用できないなどのデメリットもあります。

また、舌側矯正は、目立たない一方、舌に違和感があって話しにくかったり、通常の表側矯正より高額であるなどのデメリットもあります。

セラミックブラケットは高額ですが、一般的なワイヤーブラケットの目立ちにくい版と考えてください。

矯正治療の開始タイミング

性別によってあまり違いはありませんが、女性の方が早くから取り組む傾向があります。

女性の方が若いうちから見た目を気にしたり、コンプレックスを抱いたりということが多いからと言えるでしょう。

一方で、男性の方は、仕事に慣れて、時間的・経済的に余裕が出てきたり、健康を気にする歳になってから矯正を考える方が多いようです。

矯正治療にかかる期間

矯正治療にかかる期間は、人によって異なりますが、一般的に男性の方が骨が硬く、歯が動かしにくいため、長引く傾向にあります。

矯正歯科治療を大人になってから行うメリット

「大人になってから矯正歯科治療をして意味あるの?」と思っている方も意外と多いかもしれませんが、大人になってからでも矯正歯科治療を行うメリットはたくさんあります。

特に、以下の4つの点が大きなメリットと言えるでしょう。

・見た目の改善
・虫歯や歯周病予防、口腔内の健康維持
・成長による影響が少ないため治療がスムーズ
・噛み合わせの改善

それぞれ詳しく見ていきましょう。

見た目の改善

見た目の改善は、矯正歯科治療を行うことで得られる大きなメリットです。

歯並びが悪いことにコンプレックスを感じている人は少なくありません。

それが解消することで、自分の見た目に自信を持てるようになり、人前で口を開けて笑えるようになったり、性格まで明るくなったりすることがあるのです。

また、歯並びが悪さや、滑舌の悪さで、人と接することに臆病になっていた人が、矯正歯科治療を行うことで、積極的に人と接することができるようになったという事例も、実際にあります。

このように、単に歯並びが良くなった、という以上に、それに付随してさまざまな良い影響が出てくるというのが、矯正治療の大きなメリットと言えるでしょう。

また、特に人前に出る仕事をしている人や、接客業、営業職の人などにとっては、経済的にも良い影響が出る傾向があるようです。

虫歯や歯周病予防、口腔内の健康維持

歯並びが悪いと、歯の間に隙間ができてしまったり、歯が重なって磨けない部分があったり、口腔内の清掃が難しくなります。

そのため、歯磨きをしても歯垢や食べかすが残りやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まってしまうのです。

矯正歯科治療により段差や隙間がなくなれば、それだけ口腔内の清掃が容易になり、虫歯や歯周病のリスクが低下します。

また、歯並びが悪いせいで常に口が閉まらない状態だと、口が乾きやすくなり、唾液の分泌量が減少します。

唾液の口内洗浄効果が発揮できなることから、虫歯や歯周病の原因菌の繁殖が増えて、口臭の原因にもなってしまうのです。

つまり、矯正歯科治療は、虫歯や歯周病などのリスク軽減や、口臭の予防にもつながるということです。

また、矯正歯科治療がきっかけで、虫歯治療や歯周病対策の意識が高まったという人も多くいらっしゃいます。

意識という意味でも、口腔内の健康維持につながりやすくなる、と言えるでしょう。

成長による影響が少ないため治療がスムーズ

子どもの矯正歯科治療は、あごの骨が発達途上のため、成長の度合いによっては治療が長期化する場合もあります。

しかし、大人の場合は、成長による影響が少なく、医師の指示に従って治療を受けていれば、スムーズに治療を進めることができると言えます。

噛み合わせの改善

嚙み合わせが改善されると、一部の歯に余計な負担がかからないようになるだけでなく、しっかり噛めるようになり、食べ物の消化吸収効率も向上します。

また、噛み合わせが改善することで、力の偏りがなくなり、顎関節症や肩こり、頭痛などの症状が良くなる場合もあります。

このように、単に噛み合わせが良くなるだけではなく、全身に良い影響をもたらす可能性があるのです。

矯正歯科治療を大人になってから行うデメリット、リスク

矯正歯科治療は大人にとってメリットの多い治療ですが、デメリットやリスクがないわけではありません。

大人になってから懸念すべき、デメリット・リスクは主に以下の2つです。

・子どもより強い痛みを伴う可能性がある
・矯正期間中は虫歯や歯周病治療の治療に制限がある

それぞれ詳しく見ていきましょう。

子どもより強い痛みを伴う可能性がある

矯正治療中は、歯に力が継続的にかかります。

そのため、痛みや違和感を覚える可能性があります。

人によっては、子どもよりも痛みが大きくなることも多いです。

特に、ワイヤー矯正(表側矯正・舌側矯正)の場合、矯正装置が粘膜に当たって傷をつけ、口内炎を引き起こすなどのリスクもあります。

痛みがあまりにも強いようだと、仕事や家事などに支障が出る可能性も否定できません。

少しでも痛みの少ない矯正治療を希望される方は、マウスピース矯正を検討するといいでしょう。

マウスピース矯正は、ワイヤー矯正と比べて、弱い力で少しずつ歯を移動させていくため、ずいぶん痛みが軽減されます。

またワイヤーやブラケットが粘膜を刺激することもないため、口内炎のリスクを回避できるのもメリットです。

矯正期間中は虫歯や歯周病治療に制限がある

矯正治療中は、歯磨きがしにくくなり、虫歯や歯周病にかかるリスクが悪化します。

特に、ワイヤー矯正の場合は、装置と歯の間に歯垢や食べかすがたまりやすく、細菌が繁殖しやすくなるのです。

また、矯正治療中は、虫歯や歯周病の治療が歯に装置が装着されていることにより制限される場合があります。

したがって、ワイヤーを使った矯正治療中は、普段にも増して、丁寧にオーラルケアを行う必要があります。

一方、マウスピース矯正の場合は、マウスピースを外して歯磨きをすることができるため、虫歯や歯周病のリスクはそれほど高まりません。

一方で、汚れがついたままマウスピースを使い続けると、当然ながらマウスピースと歯の隙間で菌が繁殖し、虫歯や歯周病になってしまいます。

そのため、丁寧な歯磨きと、マウスピースの洗浄やメンテナンスをこまめに行う必要があります。

大人の矯正歯科治療に失敗する可能性はある?

大人に限ったことではありませんが、もちろん矯正歯科治療に失敗する可能性は0ではありません。

もちろん、何をもって失敗とするかによりますが、適切な矯正治療を、きちんと技術を持った医師が行っているのであれば、失敗となるケースは稀です。

たとえば、世の中で、矯正歯科治療の典型的な失敗例とされているものをいくつかあげると次のようになります。

・矯正治療が予定通りに終わらず、高額な費用を取られた
・予想していた見た目にならなかった
・顎関節症になった
・治療前の歯並びに戻ってしまった
・歯ぐきが下がり、歯根が露出した
・重度の歯根吸収が起こった

人体なので、もちろん矯正中に何か違う症状が出てしまったりするケースもありますが、それは都度対処すれば問題ありません。

効果が感じられないのであれば、通院の際などにワイヤーを調整したりすることで対処できますし、あまり大きな問題になることはありません。

つまり、世の中で矯正治療の失敗として取り上げられているのは、主に医師の経験や技術力、知識不足であることがほとんどなのです。

日本では「自由標榜制」が取られて、歯科医師の資格さえあれば、誰でも「矯正歯科」を名乗ることができます。

そのため、歯科医院によって矯正歯科治療の知識・スキルにバラつきがあり、慣れていない医師だと、上手くいかない可能性が出てきてしまいます。

このような失敗を予防するためには、矯正を受ける歯科医院の選び方が重要です。

矯正専門の歯科医院にかかるのが安心です。

なぜなら、矯正専門の歯科医院であれば、医師の知識や経験も豊富であることも多く、専用の機器なども多く取り揃えている場合が多いからです。

また、今はインターネットで歯科医院のホームページなども見られるので、歯科医師の経歴や治療例、口コミなどを参考にするのもいいでしょう。

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矯正歯科医 平塚 泰三

たとえば、ワイヤーが気になって指でいじったり、マウスピースを適切につけていない、なども治療の効果が現れにくい原因となってしまうこともあります。この点にも十分注意しましょう。

もし痛みがひどかったり、気になるようであれば、通院の際に医師に相談し、適切に調整してもらうなどで対処することが可能です。

大人の矯正歯科治療における注意点

矯正歯科治療を受ける前には、適切に検査や診断を行います。

そのため、事前に口腔内の健康状態などもチェックしますし、それを踏まえた上で医師が適切な治療法やタイミングなどをアドバイスさせていただくので、患者さまが何か特別に注意することはありません。

どちらかと言えば歯科医師側が注意する項目ですが、世の中にいる歯科医師すべてが、矯正に関する適切な診断ができるわけではないので、患者さま側でも、判断基準の1つとして知っておいた方が良いと言えます。

主に大人の矯正歯科治療において注意すべき点は以下の3つです。

・治療法を慎重に選択すること
・虫歯や歯周病治療を終わらせておくこと
・適切なタイミングで矯正治療を行うこと

それぞれ詳しく見ていきましょう。

治療法を慎重に選択すること

矯正歯科治療には、いくつか種類があります。

大きく分けると、ブラケットと呼ばれる小さな装置を歯に装着してそこにワイヤーを通して矯正するワイヤー矯正(表側矯正・舌側矯正)と、マウスピースをつけて矯正するマウスピース矯正の2つです。

ワイヤー矯正の中には、特定の歯だけに部分的にブラケットを装着する部分矯正もあります。

どちらも、メリット・デメリットがあり、その人それぞれの歯並びや口腔内の状況、矯正器具における日常生活への影響を見て、慎重に治療法を選ぶことが必要です。

ここをいい加減にしてしまうと、効果を感じにくかったり、かえって矯正治療が日々のストレスになってしまいかねません。

矯正歯科治療の前には、必ず専門の医師としっかり相談をして、自分に合った治療法を選択しましょう。

虫歯や歯周病治療を終わらせておくこと

矯正歯科治療中は、虫歯や歯周病の治療が完璧には行えません。

そのため、矯正治療に入る前に、虫歯や歯周病の治療を終わらせておく必要があります。

矯正治療中は、逆に虫歯や歯周病のリスクが高まるので、その前にしっかりと治療をして、虫歯や歯周病を治しておきましょう。

適切なタイミングで矯正治療を行うこと

大人は、骨格が完成しているので、いつからでも矯正治療を行うことができます。

逆に言えば、いつまでに終わらせたいかということから逆算して、いつ矯正治療を始めるかを決めることができるのです。

矯正治療にかかる期間は、1年~3年と、人によって差があります。

それは、専門の医師と相談してみなければわかりません。

その上で、自分にとって適切なタイミングで治療を始めることが大切です。

ただし、年齢が上がるにつれ、期間が長くなりがちなので、できるだけ早い方がいいということは言えるでしょう。

【年代別】大人の矯正歯科治療の費用相場はどれぐらい?

大人の矯正歯科治療の費用は、次のようになっており、子どもの小児歯科矯正とは異なります。

口腔内の状況によっても変わりますが、大人の場合は年代によって費用が変わることはあまりありません。

当院の料金は次のページをご参照ください。

大人の矯正歯科治療の流れ

大人の矯正歯科治療は次のような流れで行います。

①初診相談
②治療計画の確定
③矯正装置の装着
④定期的な調整とフォローアップ

初診相談

まずは、カウンセリングにて、歯並び、嚙み合わせ、口元の形状など、お悩みやご希望をお聞きします。

その上で、ご自身の歯並びを客観的に見られるよう、歯をスキャンします。

その後、スキャンされた歯を見ながら、現状の問題点、想定される治療方法、費用、治療期間などをお伝えしていくのが初診相談です。

当院では、治療のbefore – afterのシミュレーション画像をお作りしますので、ご自身の歯並びが最終的にどうなるのかを事前に確認していただけます。

治療計画の確定

治療を始めることが決まったら、精密検査を行います。

人によって検査方法も変わりますが、次のようなさまざまな検査を行っていきます。

・頭部X線規格写真撮影:上顎や下顎の成長度合い、前後的な位置関係、歯の角度、サイズ、口元の突出感、アデノイドの有無、顎関節の状態など
・パノラマX線写真撮影:虫歯の有無、歯槽骨の健康状態、歯の本数、過去に治療した修復物などの状態
・口腔内写真撮影:虫歯の有無、歯肉炎の有無、歯の咬耗状態、粘膜の健康状態など
・顔面写真撮影:左右の偏位、オトガイ部の緊張状態、口唇の状態、口元の突出感、Eライン、ナゾラビアルアングルなど
・歯列模型作成のための印象採得:歯の本数、叢生の状態、上下の嚙み合わせの状態、臼歯部の前後的位置関係、異常な歯の咬耗による機能的問題など
・CT撮影:歯と歯を支える骨の形状を三次元的に検討

これらの検査結果を分析して、具体的な治療方針を立てます。

それを患者さんと共有して、治療計画を確定していくのです。

矯正装置の装着

矯正装置を装着し、治療のスタートです。

装置装着後には、それぞれの装置に関する注意事項と、ブラッシングの方法、もし痛みが生じた場合の対処法などをご説明していきます。

通院は、ワイヤー矯正で3週間~4週間に一度、マウスピース矯正(インビザライン)で1ヶ月~6ヶ月に一度になります。

通院の際には、きちんとブラッシングができているか、虫歯や歯肉炎になっていないかなどのチェックも必要です。

定期的な調整とフォローアップ

目標とするきれいな歯並び・嚙み合わせになったら、矯正装置を外します。

しかし、治療終了直後の歯はまだ安定しておらず、歯が治療前の状態に戻ろうとします。

そこで、後戻り防止用の装置として、リテーナーという取り外しできるマウスピースを製作し、それを使用して歯並びを安定させていくことが必要です。

このような「保定」と呼ばれるメンテナンスを、一般的には2年ほど行います。

その間は、リテーナーが壊れていないかどうか、歯並びが後戻りしていないかどうか、虫歯の有無のチェックなどのため、3ヶ月〜6ヶ月に一度通院していただくことになります。

定期的な調整とフォローアップ

この記事では、大人になってから歯科矯正治療をしたい方向けに、大人の矯正歯科治療に関する情報を網羅的に解説してきました。

矯正治療は、大人になってからでも決して遅くはありません。

しかし、矯正したいと思ったら、一日でも早く相談することをおすすめします。

良い歯並びは一生ものです。

矯正期間中は、違和感があったり、見た目が気になったりと、これまでの生活とはちょっと違うことで、戸惑うこともあるかもしれません。

しかし、ほんの数年を乗り越えれば、見た目のコンプレックスを改善して、口腔内も全身も健康と若々しさを取り戻し、この先の人生で良いことがたくさん待っているでしょう。
迷っている時間がもったいないです。

歯の矯正を考えている方、歯並びが悪いことが気になっている方は、ぜひ一度矯正専門の歯科医院に相談してみてください。

人生が変わる転機となるかもしれません。

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矯正歯科医 平塚 泰三

静岡県にあるブライフ矯正歯科は、矯正専門の歯科医院です。

院長平塚が患者さんのお悩みに真摯に寄り添い、より良い治療法を一緒に探っていきます。

まずはお気軽にお問い合わせ、初診相談にお越しください。

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