部分矯正とは？対応できる症例や費用、メリット・デメリットを解説

「前歯の隙間だけが気になる」「1本だけ前に出ている歯を治したい」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

そのような方におすすめなのが「部分矯正」です。

部分矯正は全ての歯を動かす従来の矯正歯科治療と異なり、気になる部分だけを治療するため、比較的短い期間で終わる治療法です。

この記事では、部分矯正に対応できるケースやメリット・デメリット、費用について詳しく解説します。

矯正歯科治療は公的健康保険適用外の自費（自由）診療です。
一般的な治療期間：2年から3年、一般的な通院回数：20回～30回
矯正歯科治療の一般的なリスクと副作用：痛み ・口腔内不潔域の拡大と自浄作用の低下・歯根への影響（歯根の短小、歯の失活、歯肉退縮、歯根露出、失活歯の歯根破折）・顎関節症状・後戻り·加齢による変化・骨癒着

部分矯正は気になる部分だけを整える矯正歯科治療

部分矯正は気になる部分だけを整える矯正歯科治療

部分矯正は「前歯だけを整えたい」「1本の歯並びの乱れを治したい」など、一部分の歯列を整える矯正です。

特に前歯の歯並びは、相手に与える印象が大きく変わります。

成長に伴い、子どものころは気にならなかった前歯の歯並びが気になり始めた方も少なくありません。

「前歯の歯並びが気になって、会話に集中できない」「仕事上、人前で話す機会が多いから前歯が気になる」など、悩みを持つ方もいることでしょう。

部分矯正は、気になるところだけに集中して歯並びを整えることが可能です。

軽度な症例だと、部分矯正で治療できます。

しかし、全体矯正と違って部分矯正は、奥歯の移動を伴うような噛み合わせ自体を修正する治療ができません。

噛み合わせを整える必要のある症例や、重度の歯並びの矯正歯科治療をする場合は全顎矯正が向いていることも。

症例や生活スタイル、治療にかけられる費用などを考慮し、歯科医師と話し合って部分矯正をするか決めましょう。

部分矯正が可能な症例

部分矯正は、軽度な症例の歯並びの治療が可能です。

たとえば、次のような状態が当てはまります。

・前歯に気になるすき間がある
・少しだけ出っ歯になっている
・歯並びが少しガタガタしている
・後戻りを改善したい

上記のような症例では治療が可能です。

見た目には、大きくデコボコになっているような症例でも、噛み合わせが関係していない場合や抜歯する必要がないケースだと、部分矯正で治療できることもあります。

反対に、少しだけずれているだけのように見えても噛み合わせが関係している場合は、部分矯正では対応しきれないこともあります。

見た目だけでは診断できないことも多いため、精密検査をして歯型やレントゲン、噛み合わせなどを調べたうえで判断します。

また、歯科医師によって、診断が異なることもあるでしょう。

部分矯正が難しい症例

歯並びや骨格の状態によっては、部分矯正だけでは十分な効果が得られないことがあります。

全顎矯正のほうが歯だけでなく顎の骨格も整え、より安定した美しい歯並びを実現できるため、長期的に見れば効率的な治療法となるケースも見られます。

どのような症例が部分矯正では難しいかについて確認しておきましょう。

骨格に問題があるケース

骨格が関係している歯並びの問題は、部分矯正では治療できないため全体矯正が必要です。

出っ歯や受け口などの歯並びは、骨格が関係している可能性があります。

たとえば、以下のようなケースです。

・歯の大きさと顎の横幅のサイズが合っていない
・顎の骨が小さいため歯の生えるスペースが十分に確保できな

骨格に問題がある原因は、遺伝が関係しているケースと顎の成長が正しくできなかったケースが考えられます。

どちらにしても、骨格が関係している場合は噛み合わせを大きく動かしたり、抜歯をしたりして治療をします。

このようなケースだと、歯をただきれいに並べただけでは、イメージ通りの理想の歯並びにならないことが多いでしょう。

かえって治療後に「出っ歯になる」「前歯が余計に目立って見える」などの問題が起こる場合もあります。

重度の歯列の乱れがあるケース

歯並びの乱れが大きく、極端にガタガタしている場合や不正咬合の範囲が広い場合などは部分矯正の治療ができないと診断されることもあります。

特に、以下のようなケースでは部分矯正が難しいといえます。

・八重歯が大きくずれているケース
・乱雑に打ち込んだ杭のようにガタガタに生えている乱杭歯（らんぐいば）の状態
・前歯が大きく出ている出っ歯の状態

八重歯や乱杭歯のような症例だと、歯が密に重なっていたり、歯を大きく動かしたりして治療しなければなりません。

歯がきれいに並ぶための十分なスペースを確保するためには、噛み合わせ全体を動かしたり、抜歯したりする必要があります。

そのため、全体矯正での治療が望ましいと判断されることが多いです。

嚙み合わせをの改善が必要なケース

部分矯正では、噛み合わせの改善が必要なケースに対応していません。

部分矯正は、一部の歯に焦点を当てて部分的に歯並びを整える治療方法です。

一方で噛み合わせの治療は、奥歯から前歯まで全体的な歯並びをしっかりと動かして調整します。

そのため、部分矯正は噛み合わせの治療には向きません。

部分矯正で無理やり噛み合わせの改善が必要な症例の治療をすると、前歯で噛み合わなくなるなどの問題が起こるリスクもあります。

噛み合わせを整えて肩こりや顎関節症の問題を改善したい場合は、全顎矯正をするほうが良いでしょう。

抜歯を伴うケース

矯正歯科治療のために抜歯が必要だと診断された場合、部分矯正ではなく全顎矯正が向いているでしょう。

抜歯が必要な症例は、部分矯正の適用範囲を超えているケースが多いからです。

抜歯を伴うケースでは、一般的に小臼歯を抜いてできたスペースに歯を動かすことで歯並びを整えます。

一方、部分矯正では歯を少しだけ削る「ストリッピング」という施術を施すことで歯並びを整えます。

重度の歯並びや骨格が関係しているケースなどは、歯を整えるのに十分なスペースがないので、歯を抜いて動かすための場所を作らなければなりません。

重度の症例や骨格が関係している症例では、歯を大きく動かして治療をするため、全顎矯正のほうがふさわしいでしょう。

部分矯正のメリット・デメリット

歯並びを整えるために部分矯正で治療することには、下記のようなメリットとデメリットがあります。

メリット	デメリット
・矯正歯科治療の費用を抑えられる ・全顎矯正に比べて治療期間が短い ・気になる部分に集中して治療できる	・噛み合わせの治療ができない ・奥歯の矯正歯科治療ができない ・難しい症例には適用していない ・歯を動かせる距離や方向に制限がある

部分矯正は全体矯正に比べると治療費が安く、治療期間も短い傾向があります。

そのため「きれいな歯並びを手に入れたいけれど、費用を節約したい」「仕事が忙しいからできるだけ早く治療を終えたい」「転勤する可能性があるから、長期間かけたくない」という方に向いています。

また、気になる部分に集中して治療ができるため「結婚式前に歯並びだけでも整えたい」「笑顔に自信を持ちたい」という方にも人気です。

一方で、全顎矯正に比べると歯を動かせる距離や方向に限界があり、奥歯の治療や噛み合わせの治療はできません。

難しい症例には適用していないため、歯並びの状況によっては、部分矯正ができないことも。

また、部分的に動かすだけなので、時間をかけて全体の歯並びをしっかりと治療する全体矯正に比べて後戻りしやすい点も理解しておきましょう。

部分矯正が向いているかどうかは、歯並びの状態やライフスタイルによっても異なるので、ドクターとしっかりと話し合うことが大切です。

メリットはもちろんのこと、デメリットについてもしっかりと理解し、納得したうえで治療を開始してください。

部分矯正の種類

「部分矯正をする場合はどんな治療法があるのだろう？」と考えることはありませんか。

部分矯正をする場合、一般的に以下の3つの方法があります。

・表側矯正
・裏側矯正
・マウスピース矯正

それぞれの矯正方法の特徴やメリット・デメリットについて見ていきましょう。

表側矯正

表側矯正は、歯の表面にブラケットという装置を装着し、ワイヤーを通して歯を動かす治療法です。

部分矯正の場合は、動かしたい歯の数本にブラケットを装着して治療します。

表側矯正では、取り外しができない装置で矯正をするため、歯科医師のイメージ通りに歯が動きやすく、効率的に治療できるメリットがあります。

特に表側矯正は、ブラケットが目立ちやすい問題点がありますが、部分矯正では一部分のみブラケットを装着するため、全顎矯正ほど目立たず違和感も少ないです。

効率的に治療を終えたい方に向いています。

ただし、歯の表面に装置がついていることは変わりません。

審美性が気になったり、食べカスやプラークが矯正器具に付着しやすかったりするなどのデメリットもあります。

裏側矯正

裏側矯正は、歯の裏側にブラケットを装着し、ワイヤーを通して治療する矯正方法です。

裏側に矯正器具があるため、見た目では矯正歯科治療をしていることがわかりません。

「ワイヤー矯正をしたいけど、見た目が気になる」「仕事上、審美性を気にしたい」という方に特に人気の治療法です。

しかし、表側矯正に比べて高額な費用がかかり、適用症例も限られるという問題点があります。

また、前歯の裏側に矯正装置があるため、違和感を覚えやすく発音しづらいこともデメリットです。

特に「サ行」「タ行」などの発音をする際に舌の先が装置に当たります。

話すたびに舌が当たり、傷がつく可能性も否定できません。

また、食べカスやプラークがつきやすく口腔ケアもしにくいため、虫歯になりやすいというリスクもあるでしょう。

（当院では裏側矯正の取り扱いはございません。ご了承ください。）

マウスピース矯正

マウスピース矯正は、マウスピース装置を使って歯を動かす治療法です。

一般的に使用するのはインビザラインですが、薄くて透明な装置を使うためほとんど目立ちません。

取り外しができる装置なので、食事に問題もなく、口腔ケアがしやすいメリットがあります。

また、症例によってはとても安い値段で治療ができることも少なくありません。

しかし、装着時間と方法を守って使用する必要があり、自己管理が求められるというデメリットもあります。

自己管理ができない方には向きません。

表側矯正と裏側矯正では、治療したい部分のみに装置を装着して治療するのに対し、マウスピース矯正では部分矯正でも全顎にマウスピースを装着します。

そのため、全顎矯正に比べて違いが分かりにくいと感じる方もいらっしゃるでしょう。

インビザラインの場合は枚数制限を設けることで全顎矯正と部分矯正を区別しています。

全顎矯正の場合は枚数の制限はありませんが、部分矯正の場合は症例に合わせて7枚、14枚、26枚など枚数や費用設定が段階的に決まっています。

部分矯正の費用

部分矯正の費用は、自由診療です。

保険が適用されないため、矯正歯科によって費用設定が異なります。

また、部分矯正は特に矯正方法や矯正する本数、歯並びの状況によって値段が変わることも多いでしょう。

治療前に、治療内容とともに費用についてもしっかりと確認することが大切です。

部分矯正にも対応しているブライフ矯正歯科の費用は、以下の通りです。

ワイヤー矯正	11万円〜
インビザライン（7枚以内）	27万5,000円〜38万5,000円
インビザライン（14枚以内）	49万5,000円〜66万円
インビザライン（26枚以内）	60万5,000円〜77万円

部分矯正に関するよくある質問

ここまでで、部分矯正の特徴や対応できるケース、メリット・デメリットについて解説してきました。

これから部分矯正を始めるか検討している方は、いろいろな質問が湧き上がってくることでしょう。

最後に、部分矯正について多くの方が疑問に思う質問に回答します。

部分矯正は何本まで治療できますか？

部分矯正は、基本的に上下12本の前歯の治療ができます。

前歯は正中から数えて3本なので、左右6本、上下で合計12本の計算になります。

前歯の範囲であれば、1本からの矯正歯科治療も可能です。

ただし、全ての症例に適用しているとは限らないため、自分の症例で可能かどうかを確認することが大切です。

以前矯正をして後戻りした場合、部分矯正で治りますか？

矯正歯科治療で後戻りした場合は、部分矯正で治療できる可能性が高いです。

後戻りは、放置すると悪化する場合が少なくありません。

後戻りの症状が軽いうちに治したほうが良いため「もう一度きれいな前歯に戻りたい」という方はできるだけ早く矯正歯科に相談しましょう。

1本だけの部分矯正の費用はいくらくらいですか？

1〜2本で、軽度の症例の場合は10万円程度の金額で治療できる可能性があります。

たとえば、少しのすき間をなくす、デコボコをきれいにするなどの症例です。

ただし、費用は矯正歯科治療をする本数だけでなく、歯並びの状況によっても左右されます。

精密検査をした後で、どれくらいの費用が必要か確認できます。

10万円で部分矯正はできますか？

10万円で部分矯正はできますか？

症例によっては10万円台で、部分矯正ができる可能性があります。

部分矯正の本数が少なく簡単な症例の場合は、治療期間も短く費用も安くなるからです。

ブライフ矯正歯科でも、10万円台からワイヤー矯正が可能です。

しかし、多くの矯正歯科では矯正歯科治療のみの金額を治療費として設定しています。

そのほか、カウンセリング料金や調整料金、診断料金、精密検査料金が別途でかかる可能性も高いため、実際に支払う金額はもっと高額になることもあるでしょう。

矯正費用の金額以外に必要な費用についても、きちんと計算することが大切です。

部分矯正が適応かどうかは矯正歯科で確認してみましょう

部分矯正は、気になる部分に焦点を当てて矯正する治療法です。

大きな症例に対応しておらず噛み合わせの治療はできませんが、費用が安く治療期間が短いメリットがあります。

部分矯正が適用かどうかの最終診断は、骨格や噛み合わせを考慮した結果決まります。

部分矯正を検討している方は、矯正歯科で確認してみましょう。

「気になるところだけ治療したい」「結婚式までに間に合わせたい」という方にも人気です。

ブライフ矯正歯科では、部分矯正を含む矯正歯科治療全般を行っています。

JR静岡駅北口から徒歩10分の場所にあり、アクセスも良好。

「やってよかった」と、晴れやかな笑顔で治療を終えられることをモットーに、患者さまのニーズや要望に沿った治療をすることを心がけ、治療に取り組んでいます。

部分矯正はもちろん、矯正歯科治療を希望している方はご気軽にお問い合わせください。