乳歯の矯正歯科治療は必要？子どものうちに治療を始めるメリットや注意点

「子どもの歯並びや噛み合わせが気になるけれど、乳歯の時期に矯正を始めるべき？」と迷っている親御さんも多いのではないでしょうか。

乳歯は永久歯に生え変わるため、矯正歯科治療の必要性を感じにくいかもしれません。

しかし、乳歯の時期に矯正歯科治療を行うことで、永久歯が正しい位置に生えるようサポートし、将来の歯並びトラブルを予防することができます。

この記事では、乳歯の矯正歯科治療が必要になるケースや治療を始めるメリット、注意すべきポイントについて詳しく解説します。

矯正歯科治療は公的健康保険適用外の自費（自由）診療です。
一般的な治療期間：2年から3年、一般的な通院回数：20回～30回
矯正歯科治療の一般的なリスクと副作用：痛み ・口腔内不潔域の拡大と自浄作用の低下・歯根への影響（歯根の短小、歯の失活、歯肉退縮、歯根露出、失活歯の歯根破折）・顎関節症状・後戻り·加齢による変化・骨癒着

乳歯の矯正歯科治療は必要？

乳歯がある時期に矯正歯科治療をする目的は、永久歯が正しい位置に生えてくるための土台をつくることです。

歯並びは、歯の大きさと顎の大きさのバランスで決まります。

たとえば、永久歯の歯の大きさに対して顎の大きさが足りないと、でこぼこな歯並びの「叢生（そうせい、乱ぐい歯）」になります。

また、下顎に対して上顎の成長が足らずに、噛み合わせが反対になってしまった状態が「受け口」です。

上顎の成長が一番活発な時期は7〜９歳ごろで、この時期は顎の成長力を利用した治療ができる貴重な時期です。

この時期に行う矯正歯科治療を総称して一期治療と呼び、その後永久歯が生え揃ってから行う二期治療とは内容が大きく異なります。

お子さまの歯並びに少しでも不安がある場合は、治療効果が高い時期を逃さないために、早めに矯正歯科に相談することをおすすめします。

低年齢から治療することで歯並びだけでなく顔立ちもきれいになり、全身の健康にもつながります。

子どものうちに矯正歯科治療を始めるメリット

矯正歯科治療は、顎の骨が柔軟な子どものうちに始めることで多くのメリットが得られます。

主なメリットは、次のとおりです。

・顎の歪みを防ぐことにつながる
・二期治療の負担を減らせる
・虫歯を予防できる
・コンプレックスの解消につながる

それぞれ詳しく説明します。

顎の歪みを防ぐことにつながる

噛み合わせのずれや顎の歪みは、乳幼児期からの習慣や癖の影響が大きいです。

たとえば、長期間の指しゃぶりは、指で前歯を押し続けるため、「上顎前突（出っ歯）」や前歯が噛み合わない「開咬」と呼ばれる不正咬合の原因になります。

また、うつぶせ寝や横向きで寝る癖は長時間顎に力がかかるため、顎が左右にずれ、噛み合わせの悪化を引き起こしかねません。

このような習慣や癖によって起こった不正咬合は、顎の骨が柔軟な子どものうちであればコントロールしやすいため、無理なくスムーズに治すことが可能です。

二期治療の負担を減らせる

子どもの矯正歯科治療は、乳歯と永久歯が混在する6〜12歳ころの間に行う「一期治療」と永久歯に生え変わってから行う「二期治療」に分けられます。

一期治療では、顎の成長をサポートする取り外し式の装置が主に使われます。

二期治療は、ワイヤーやマウスピースを使って行う大人と同じ矯正治療法です。

上顎の成長期である一期治療で適切な治療を行い、永久歯がきれいに並ぶ土台を作っておくことで、二期治療の必要がなくなることもあります。

よりきれいな歯並びをつくるために二期治療が必要と判断された場合でも、一期治療で顎のスペースを広げておくことができれば、永久歯の抜歯が不要になるケースが多いです。

虫歯を予防できる

乳歯や生えたての永久歯は、歯の質が弱く虫歯になりやすいです。

早い時期から歯並びを整えておくことによって、歯磨きがしやすい口の環境を作ることができます。

また、矯正歯科治療を始めると定期的に歯科医院に通うことになるので、磨き残しのチェックや歯磨きの仕方をを教えてもらう機会が増えます。

歯磨きに対する意識が高まることで、正しいブラッシングが習慣化し、その結果虫歯予防につながでしょう。

コンプレックスの解消につながる

小学校の高学年になると、人の目が気になったり、美容への関心が高くなる子どもも多いです。

この時期に自分の歯並びにコンプレックスを持ってしまうと、口を開けて笑ったり、人前で話すことに抵抗を感じるようになるかもしれません。

子どものうちから自分に自信をもち、日常生活を思い切り楽しむことは、幸福感や自己肯定感を育むことにつながります。

乳歯の矯正歯科治療を行うタイミング

子どもの矯正歯科治療を始めるベストな時期は、6〜7歳ごろの乳歯が永久歯に生え変わるタイミングです。

この時期に治療が開始できれば、顎の成長する力を使い顎を広げる「一期治療」を行うことができます。

永久歯の歯並びを整える「二期治療」が必要になった場合も、一期治療で土台を整えておくことにより、二期治療にかかる時間や費用を抑えることができます。

ベストなタイミングを逃さないためにも、小学校入学のころまでには一度矯正歯科に相談することをおすすめします。

矯正歯科治療が必要な乳歯の代表症例

乳歯の時期に矯正歯科治療が必要な代表的な症例として、以下の4つがあります。

お子さまの歯並びに気になる点がある場合、これらの症例に該当しないかチェックしてみましょう。

矯正歯科における乳歯の治療法

子どもの矯正歯科治療の種類は症状によって様々ですが、代表的なものをご紹介します。

・マウスピース矯正（インビザラインファースト）
・機能的矯正装置
・顎矯正装置（ヘッドギア、上顎前方牽引装置）
・拡大装置（拡大床、急速拡大装置）

順番に詳しく説明します。

マウスピース矯正（インビザラインファースト）

インビザラインファーストは、オーダーメイドで作られた透明なマウスピースを1〜2週間ごとに交換しながら、歯並びを整える方法です。

乳歯の時期に行うマウスピース矯正では「顎の大きさを広げること」と「歯並びを整えること」を同時に行うことができます。

子ども用マウスピースの登場によって、見た目を気にすることがなく治療ができるようになり、矯正歯科治療におけるハードルがグッと下がりました。

痛みが非常に少ないことも、子どもから支持される理由の一つです。

また、取り外しができるので、歯磨きや食事に影響を与えません。

ただし、注意点として、学校でも装着し続ける必要があるため、自己管理が難しいお子さまの場合は十分な効果が得られない可能性があります。

親御さんによる自己管理の習慣づけやサポートが重要です。

機能的矯正装置

機能的矯正装置は、マウスピースの一種なのですが、顎の成長をコントロールする機能を持ったものになります。

代表的なものとして、バイオネーター、FKO、ツインブロック、プレオルソなどがあります。

適応症は、反対咬合や上顎前突、開咬など多岐に渡り、症状に応じて適切な装置を選択します。

主に就寝時を中心として、１日あたり９〜１０時間を目安に使用します。

取り外しができるため、食事や歯磨きに影響がなく、痛みもほぼないため無理なく続けられます。

ヘッドギア

ヘッドギアは取り外し式の装置で、上の奥歯と頭部に固定したベルトをつなぎ、上顎を後ろに引っ張る力を加えて矯正します。

成長期の子どもの上顎前突（出っ歯）を治す装置で、小学生から中学生までの子どもに効果的です。

在宅時や就寝中に1日8〜12時間以上、正しく装着することで効果が得られるため、学校生活や外出時に影響を与えません。

子どものうちにヘッドギアで治療をしておくことで、上下の顎の位置を無理なくコントロールすることができ、将来手術などの大きな治療を避けられます。

拡大装置

拡大装置は、顎の成長を利用して歯列の幅を広げ、永久歯がきれいに生えるためのスペースをつくる装置です。

取り外し式と固定式があり、目的や使用期間が異なります。

それぞれの特徴は、以下のとおりです。

乳歯の矯正歯科治療の費用

子どもの矯正歯科治療の費用は、一期治療と二期治療に分けて設定されていることが多いです。

使う装置や治療法により異なりますが、一般的な費用相場は、以下のとおりです。

一期治療（6歳〜12歳）

これまで説明してきた、乳歯の時期の矯正歯科治療を指します。

一期治療の相場は30〜50万円程度です。

一期治療では個々の歯並びや噛み合わせによって使う装置や数が異なります。

「装置一つで◯円」という料金設定ではなく、装置代を全て含めて一期治療の基本料金としているところがほとんどです。

二期治療（12歳ごろ〜）

一期治療終了後に行う二期治療の相場は、40〜65万円程度です。

二期治療は成人矯正とほぼ同じ治療内容になり、一期治療をせずに二期治療（大人の矯正）から始めた場合は、70〜115万円程度かかります。

そのほかの費用

一期治療・二期治療は、基本料金のほかに以下の費用がかかります。

全ての料金を基本料金に含めているところもあり、料金設定は歯科医院によってさまざまです。

ブライフ矯正歯科では子どもの一期治療と二期治療について以下のような料金設定をしております。

乳歯の矯正歯科治療で後悔しないためのポイント

矯正歯科治療は、治療が長期間にわたることや費用が高額であることから、一度治療を始めると別の歯科医院に変えることが困難です。

特に乳歯の時期は子どもの心身の発達においても重要な時期なので、慎重に検討する必要があります。

以下に、治療を始める前に押さえておきたい3つの注意点をまとめました。

経験と知識が豊富な認定医を選ぶ

矯正歯科治療を行う全国の歯科医師約20,000人のうち、認定医を取得している歯科医師は約3,000人程度しかいません。

日本矯正歯科学会認定医を取得するには、最低5年の臨床経験を積んだあと、学会が定める研修プログラムを修了し、試験に合格する必要があります。

認定医を持つ歯科医師は一定以上の経験や知識があるといえますので、矯正歯科を選ぶひとつの目安にしてみてください。

子どもが無理なく続けられる治療法を検討する

乳歯の矯正歯科治療を成功させるためには、子ども自身のやる気も必要不可欠です。

特に取り外し式の装置は簡単に外せてしまうため、習慣化するまでは親も子も苦労することがあります。

また、親が一方的に治療を決めてしまうと、子どもが嫌がって治療が進まないことも考えられます。

そのため、親子でしっかり話し合い、子ども自身が納得したうえで治療を始めることが大切です。

治療内容や費用、期間について事前に十分理解する

矯正歯科治療は、一般的な歯科治療とは異なり、時間も費用もかかります。

短期間で終わるものではなく、数か月から数年にわたる長期的な治療となるケースが多く、その間は定期的な通院や矯正装置の管理も必要です。

そのため、治療を始める前に具体的な治療内容や費用、期間についてしっかりと説明を受け、理解しておくことが欠かせません。

乳歯の矯正歯科治療に関するよくある質問

ここまで、乳歯の矯正歯科治療の必要性や、子どものうちに矯正歯科治療を始めるメリットについて解説してきました。

最後に乳歯の矯正歯科治療に関するよくある質問について紹介します。

乳歯の歯並びが気になるけれど、永久歯に生え変わるから放置しても問題ない？

乳歯の噛み合わせや歯並びが悪いまま放置してしまうと、永久歯の歯並びにも影響することがあります。

乳歯の時期は顎の成長力を使った矯正ができる重要な時期です。

少しでも心配があれば、早めに矯正歯科に相談しましょう。

子どもの矯正歯科治療では抜歯が必要？

子どもの一期治療（6歳〜12歳）は、基本的に抜歯をすることはありません。

ただし、治療をするのに邪魔になってしまう乳歯がある場合は、適切な時期をみて抜歯することがあります。

子どもの歯並びに関する相談はブライフ矯正歯科まで

子どものうちから歯並びを整えておくことは、見た目はもちろん、虫歯や感染症の予防、食生活の向上など健康面でもさまざまなメリットがあります。

早いうちから治療を開始できれば、顎の成長する力を利用できるので、比較的短期間での治療が可能です。

お子さまの歯並びや噛み合わせが気になったら、小学校入学前を目安に一度矯正歯科に相談に行くことをおすすめします。

ブライフ矯正歯科では、日本矯正歯科学会認定医をもつ歯科医師が正確な検査・診断のもと、お子さま一人ひとりに合わせた治療プランをご提案します。

静岡市周辺にお住まいの方は、ぜひお気軽に相談にいらしてください。