MFT(口腔筋機能療法)とは食べる時、飲む時、発音する時、呼吸する時の舌や口唇の位置の改善を目的としたトレーニングです。舌癖や指しゃぶりはMFTを行うことで症状の改善が期待できます。お口周りの筋肉と歯並びは深く関係しています。
下記に当てはまる方はMFTが必要な可能性が高いと言えます。
✓舌突出癖がある
舌で歯を押す癖がある人は、その舌の力で歯列が外に広がるため、開咬(咬んでも前歯が閉じない)やすきっ歯(空隙歯列)になります。 |
✓口呼吸になっている
口呼吸になっていると唇が閉じていない時間が長くなるため唇や頬の筋肉による〈外側からの圧力〉がかからなくなり、出っ歯や受け口などの原因になってしまうこともあります。 |
✓咬唇癖がある
下唇を噛む癖のことです。唇が上下の前歯の間を頻繁に出入りすることによって前歯に圧がかかり、舌の前歯が舌側へ倒れたり、上の前歯が外側へ傾斜したりして、前歯の咬み合わせに隙間が生じます。 |
✓低位舌
常に下の歯に舌が当たったままになり前に押し出されるような形になるので反対咬合(うけ口)や開咬(噛んだ時に前歯が当たらない噛み合わせ)になってしまったり、歯と歯の隙間が開いてしまう空隙歯列の原因になってしまいます。 |
MFTとは何をするのか?
MFT (口腔筋機能療法)は矯正治療と並行してお口周りの筋肉や舌の筋肉のトレーニングを行います。来院時に舌や口唇のトレーニングのやり方をお伝えし、自宅でも毎日10〜15分程度トレーニングを継続していただきます。初めは舌や口周りが思ったように動かせなかったりしますが、トレーニングをしていくことで筋肉が鍛えられ動かしやすくなります。 |
トレーニングの一部
《ティップアンドスポット》
舌を尖らせる感覚と力を養うことを目的としたトレーニング
① 棒を離して舌の先端をスポットに当てて5秒間キープ
② ①と②を5回繰り返す
✓気を付けること
●舌をスポットに当てるときは舌の先が丸めず尖らせるようにして当てる ●舌の先が丸まらないように注意する |
《ポッピング》
舌全体を上顎に挙上させる力と感覚を養うとともに舌小帯を伸ばすことを目的としたトレーニング
①口を大きく開けたまま、舌全体を上顎に吸い付ける
②舌を下に下ろす。その時しっかりポンと音が鳴るように
ゆっくり「1、2、3、ポン」くらいのスピードで20回行う
✓気をつけること
●舌の先端はスポットに置く ●前方だけでなく後方まで吸い付いているようにし、舌が歯の面を覆わないよう歯列の内側に収めるようにする ●舌が左右対称に吸い付いつくようにする |
このようなトレーニングを患者様の様子を見ながらいくつか提案し、お家でも一日10分程度のトレーニングを行っていただきます。
日常生活の中でも行いやすいよう空いた時間でも行えるような簡単なトレーニングもお伝えしますのでご安心ください。
MFTの最終目標
口にも身体と同じように正しい姿勢があります、その姿勢を維持できるよう舌やお口周りの筋肉のトレーニングを行い正しい舌の使い方、動き、位置を維持できるようにするのがMFT の目的です。
お口の正しい姿勢とは、食べたり飲んだりしていないときに
・唇はリラックスした状態で閉じていて、鼻で呼吸している。
・舌はリラックスした状態で上顎についている。スポット(★)に舌の先端がある。
唇が閉じた状態で鼻で息、舌は上顎、歯は離すが基本の姿勢になります。簡単そうで意外と難しいですが日常の中で意識することによって習慣化していきます。ただ歯並びが理由でうまくできない場合には歯並びが改善するとともにやりやすくなってきます。
MFTはこの正しい位置を維持するために大切な訓練です。
簡単にできるようになるものではないですが日々の習慣にしていくことで自然と舌が正しい位置に誘動されるようになります。
矯正治療と並行してこのトレーニングを行うことで矯正治療後の後戻りの防止にも繋がります。
矯正歯科治療は公的健康保険適用外の自費(自由)診療です。 一般的な治療期間:2年から3年、一般的な通院回数:20回~30回 矯正歯科治療の一般的なリスクと副作用:・痛み ・口腔内不潔域の拡大と自浄作用の低下・歯根への影響(歯根の短小、歯の失活、歯肉退縮、歯根露出、失活歯の歯根破折)・顎関節症状・後戻り·加齢による変化・骨癒着 |